デコンボリューション
生物学での蛍光、レーザ共焦点及び多光子顕微鏡を使った観察画像への”デコンボリューション”は、一般的に厚みのある試料観察画像はZ軸の観察焦点面とZ軸に沿った上下の非焦点面画像情報を含んでいるため(コンボリューション画像)にボケています。その為、顕微鏡システムの個別のボケ関数(PSF)を理論的又はビーズを実測して関数化し、数学的に処理を行いノイズを減少するとともにボケを取り除きできるだけ元の画像に忠実に戻す(Restoration)ことを意味します。
なぜデコンボリューションが必要か?
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- システムのPSF:Point Spread Function(焦点面の上下の画像が写りこむ)が真の画像を歪めているため、観察画像にはボケ、ノイズが含まれている
- レンズ、媒体、試料を通過する光情報が屈折率の非接合によりZ軸方向に画像が伸びる
(球面収差)
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レーザ共焦点顕微鏡像でも
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- ピンホールを使っているが無限に小さくないので、まだボケが残っている
- 3次元的に発生しているフォトンノイズでレーザ共焦点画像(2次元的ボケ取り)でもZ軸方向にボケが発生している
- ピンホールを小さくすると画像がかすれるので、一般的にはピンホールを理論サイズ(スキャンスポット)より大きく設定して測定しているのでボケが残る
- ピンホールを開けるとノイズは減るがXY及びZ方向の解像度も悪くする
- ニポウディスク共焦点画像はサイドローブでボケが混入しているのでデコンボリューション処理をお勧めします。
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デコンボリューションで何が改善されるか?
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- ボケ取り(ノイズの除去とX,Y,Z解像度の改善)
- 褪色補正(2Dタイムラップス画像に有効)
- z軸補正(3Dタイムラップス画像に対して)
- 光源ドリフト補正(蛍光顕微鏡画像のみ)
- 測定PSFを使用することで球面収差補正(薄いサンプルの正確な補正は難しい)
- コントラストの改善でバックグラウンドとシグナルのコントラストが良くなる
(ボケている画像は本来の輝度値がぼけで散乱しており、これが元の位置に戻されるのでコントラストが良くなる)
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**上記改善により定量的な数値解析ができる画像となる**
効果のサンプルについては下記をメーカのHPを参照してください。
画像サンプル ImageGallery
正しいデコンボリューションを行うために必要なこと
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- 観察波長、N.A.で計算される十分なX,Y及びZのサンプリングを行う
(褪色が心配な場合は、露光時間を短くしてもサンプリングをナイキストの定理に従う。ノイズはデコンボリューションで改善されます) - 正しいPSFを作成(理論計算又はビーズ測定)
- デコンボリューション処理に正しいパラメータを設定する
(対物レンズのN.A.,X,Y,Zサンプリングスペース、ピンホール投影サイズ、励起/吸収波長、オイルインデックスなど) - 上下複数枚のスライスを使った3Dデコンボリューションの方がより正確な結果を得ることができます。
- 観察波長、N.A.で計算される十分なX,Y及びZのサンプリングを行う
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点像分布関数 PSF(Point Spread Function)
デコンボリューションアルゴリズムとソフトウエアの種類
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- Maximum Likelihood Estimation
Huygens (Mac-OSX,Windowsスタンドアロン)
- Maximum Likelihood Estimation
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